敷地381.10㎡、延床面積51.88㎡、木造平屋建
2011年12月竣工
「長らくマンション暮らしのため、家を『建てる』ことはもちろん、『戸建に暮らす』こともイメージがわかなくて・・・」と、当初は話されていたIさん。
設計打合せが進むにつれ、「これちょっと読んでみてください」と、
小説の一部や新聞のエッセイ、冷泉家のパンフレットにコルビュジェの作品集なども登場。好きな紅茶やテーブルコーディネートの話など、
話題は多岐にわたり、楽しい打合せが続きました。
ご自身が“これ”と思われたものを共有し、互いを知りあう時間を大切にしながら、ゆっくりとすすんできたプロジェクトでした。
時間をかけキャッチボールする中で、住まいや暮らしのイメージを共に作り上げていきました。
竣工時には「はじめての家づくり、楽しかった。贅沢な時間でした」と、嬉しいお言葉をいただきました。
敷地はすぐ近くに山を望む田園地帯。定年退職後、出身地であるこの地に居を構え、元々の住まいのある大阪と行き来しながら
暮らすセカンドハウスです。弟さん宅の隣地を購入し、大阪で一緒に暮らしてきた高齢のお母様の見守りを、
住まい手のIさんと、弟さん一家で共に担えるようにということでもありました。
15坪、ほぼ正方形のワンルーム。庭に向いた大きな開口のあるメインルームを中心に、玄関土間~水廻り~書斎~
寝室が、緩やかにつながります。屋根を見上げると、垂木のリズミカルな表情が、まるで大木の下にいるような安心感を
与えてくれます。玄関に設えた木製網戸からは、蛙の声とともに気持ち良い西風が吹き抜けます。
お引渡しから半年。
窓からの山並みを眺めながら、好きな読書に耽り(ここにくると難しい本がたくさん読めるそう)、ワンルームの室内で
ありながらそれぞれのコーナーに好きな絵や雑貨をセンス良く飾り、
庭の草花を生け、必要最小限かもしれないけれどこれで十分、そんな豊かな暮らしぶりがそこにはありました。